C-Suite Talk Live第54回 トレンダーズ株式会社 代表取締役 経沢 香保子さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第54回(4/4)

第54回 トレンダーズ株式会社 代表取締役 経沢香保子さん
Calendar2012/07/23

会社が魅力的であれば人は残る

古森 この会社に入社して来る方々というのは、どういうタイプの方々なのでしょうか。

経沢 まず、弊社は中途採用と新卒採用の両方を行っていますけど、数としては半々くらいです。新卒の人たちの中には、「大手が良い」というのではなくて、「やりたいことがやれることの方が幸せ」と考えている人がいます。また、「一流の会社に入る」ことよりも、「一流の会社を作る方がやりがいを感じる」という人もいます。ですから、こちらが情熱を持って訴えかければ、「ああ、この会社で働いてみたい」「ああ、この会社で本当に女性の時代を変えるようなことをしたい」とか、そういう点で共感していただける人を採用できるのです。

古森 価値観自体がフィットする人材が、新卒セグメントにいらっしゃるのですね。

経沢 有難いことに、弊社は年間2万人くらいの新卒応募があります。2万人の応募というのは、かなりの大企業と並ぶ数だと知りました。そういう意味では、現時点では、新卒採用市場では企業規模に比してトレンダーズの優位性は高いのかもしれません。ただ、市場はどう変わるかわかりません。採用のプロセスにおいても、直接私が説明会に全部出て、30分以上話をして、きちんと質疑応答をしています。毎年毎年会社のしっかりした認知度を高めていかなくてはいけないと思うので気が抜けないです。でも、同時に直接メッセージを伝える分、、他の会社さんよりも高い志望度を持っていただける場合も多いと感じています。

古森 それだけの数から選ぶことが出来れば、価値観のあう人も見つかるでしょうね。しかし、すごい応募数ですね。

経沢 本当にありがたい話です。ただ、一方で、会社を大きくしようと思うからには、私より能力のある人を採らないと絶対に上手くいきません。私と違うキャラですとか、対等で戦える何かを持っているとか。例えば、すごく営業力を持っている、財務のことがすごく分かるとか。そういう確固たる強みを持つ人たちに来ていただくことで、会社のステージを上げていく力が得られると思っています。

古森 新卒の採用説明会に毎回社長が出て、30分話して、Q&Aもあるというのは、やはりパワーがありますね。

経沢 うーん。おそらく、社長が出てくることってあまりないから、すごいインパクトがあったということで、入社意向が強くなるようなところもあるのかもしれませんね。

古森 でもやっぱり、会社の価値観ですとか、本当に目指しているものについては、この会社の中で一番それを語る力のある人が語るというのが最強ですよね。

経沢そうですね。おっしゃるとおりだと思います。

古森 新卒だって、10年後にはもう皆さん「10年選手」になるわけですよね。

経沢 そうです。新卒採用も5年ほどやってきて、かなり育ってきています。幹部レベルになっている人もたくさんいて、営業の社員なんかはもう、すごい成績が良いですからね。それでマネジャーにもなれますし。そして、彼女ら、彼らの語る言葉というのが、私が思っている以上にパワーがあるのです。現場に対しては。リアルですし。

古森 徐々に進めてきたことが、着実に形になってきている感じですね。

経沢 そうですね、DNAをもった血族が組織を作っているみたいな感じです。そういうのも、すごく楽しいです(笑)。たぶん、そういう仕事が私は好きなんだと思います。

古森 今から5年経ったら、さらにまた大きな層が組織の中で育っていることでしょうね。ところで、育った人材に残ってもらえるかどうかというのは、どんな企業でも課題になっているところです。いわゆるリテンションのことですが、御社ではどうですか。

経沢 それは、シンプルな話だと思っています。人は皆、社会のものなんです。私のものじゃないし、会社のものでもないんです。どんなに価値観を共有して一緒に育ってきたとしても、やはり、人はみんな社会のものなんです。だから、無理に縛ろうとしたり、とどめようとしてはいけないと思います。

古森 なるほど・・・。

経沢 ただ、少しでも長くいて欲しい、できればずっと活躍して欲しいと心底願ってます。その会社の社長とか、会社全体がその人にとって他の選択肢より魅力的だったら、居続けるというだけのことと考えています。それは、経営者としての勝負ですよね。弊社にはよく、「起業したい」と思って入ってくる人もいます。「そういうのって、どうなんでしょうか」と、新卒採用の説明会でよく聞かれたりもします。私は、起業することよりも「この会社にいることのほうが魅力的だ」と感じてくれたら、結果的にはその人は残ると考えています。本当に起業家向きの人は仕方がないと思います。そこは私も区別がつきます。でも多くの場合は人間関係と同じで、魅力があればつきあってもらえる。だから、こちらも努力しないとダメです。この勝負は、組織の論理だけでは戦えないのです。

古森 ましてこれだけ情報が個人の手にある時代に、何かこう、不自然なもので人の動きを制御しようとしても、やっぱり駄目だということですね。本当に良いと思ったらいるし、良いと思わなかったら、どんなにしても駄目だということ・・・・。そこですよね。そこは結局、経営者が魅力度をかけて勝負し続けるしかないということですね。

経沢 そうです。常に自分を成長させたり、磨いていかないと、と思っています。

古森 あ、もうこんな時間ですか!そろそろタイムアップですね。今日は本当に、色々とお聞かせいただきましてありがとうございました。シンプルで示唆に富むメッセージの塊をいただきました。経営者としての覚悟、考え方、スタイルなどに、私自身ストレートな刺激を受けました。