C-Suite Talk Live 第55回NHN Japan株式会社 代表取締役社長 森川亮さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第55回 (1/4)

第55回 NHN Japan株式会社 代表取締役社長 森川亮さん
Calendar2012/08/22
C-Suite Talk Live 第55回 ~対談エッセンス~
  • LINEは生まれるべくして生まれた
  • 日本法人はクオリティで存在価値を出す
  • 多様性を生かし、結果で勝負する
  • ストレートなコミュニケーションが競争力を高める
  • すごい人たちが最後に辿り着く場所に

LINEは生まれるべくして生まれた

古森こんにちは、ご無沙汰を致しております。今日はお忙しい中にお時間をいただきまして、ありがとうございます。この対談シリーズ、各界のリーダーシップを取っていらっしゃる方々に、「人」や「組織」の視点からざっくばらんにお話を伺う活動として続けております。よろしくお願いいたします。

森川 どうぞよろしくお願いします。

古森 今やNHN Japanさんのことは多くの人が知るところですが、改めまして、御社の事を簡潔に一般向けに説明するとしたら、どんな風にお話ししたら良いでしょうか。

森川 そうですね。非常に簡単にご説明しますと、当社はまず韓国最大のインターネット企業NHNの日本法人です。サービス内容としては、livedoor、NAVER、ハンゲームという3つのブランドからなっていまして、最近これにLINEというサービスが加わった形になります。

古森 LINEは、新しいSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)として急速に成長しましたね。ニュースなどを見ておりましても、あっという間にユーザーが5,000万人達成だとか。それも日本法人発の事業が国境を越えての5,000万人。素晴らしい展開ですね。

森川 もともとは、当社の事業はPC(パーソナルコンピュータ)を軸にしていました。韓国で成功して日本でも頑張って、それなりの成功を収めていました。しかし、次のステージを考える中では、PCを軸にした事業で進んでいくべきか、それとも違う軸を見出すべきかと考えていたのです。その矢先に、スマートフォンが登場しました。そこで、スマートフォンを軸に価値を作っていく方向に舵を切って、かなりのリソースをそこに投入して、色んな試行錯誤をする中でLINEというものが生まれてきたのです。

古森 スマートフォンの登場を見て、大きく軸足をシフト・・・。

森川 大きなシフトです。スマートフォン分野に関しては、おそらく普通の会社では考えられないくらい、人材も金額も投資をしました。ですから、私としては「LINEは生まれるべくして生まれた」ものと理解しています。

古森その軸足のシフトと思い切ったリソース投入があって、1年くらいで急速にLINEがユーザーを獲得しているわけですね。しかし、リソースを集中投下したとしても、うまくいかないことは世の中に多々あります。LINEがこれだけ世の中にフックをかけているのは、例えば、人・組織の角度から見ると何が力になったのでしょうか。

森川 LINEは、スマートフォンのトレンドに乗った単なる思いつきではないのですよ。私たちはずっと、本質を突き詰めるような仕事の仕方を大事にしてきました。「コミュニケーションとは何ぞや」という議論をもう10年ほど深めてきています。その上で、スマートフォンの登場を受けて、「スマートフォン時代のコミュニケーションはどうなるのか」という議論があり、そこから「メールを超えるSNS的なメッセンジャーがきっと来るだろう」という洞察につながったわけです。

古森 コミュニケーションそのものについて深く探求してきた土台の上に、必然的に生まれた洞察がLINEだった。

森川 LINEのプロジェクトに加わったメンバーは、ずっとコミュニケーションの探求をやってきている人たちです。パッと思いついたというのではなく、コミュニケーションの色々なパターンや成功事例をずっと見てきた人達が集まって、洞察を利かせて開発したのです。

古森 トレンドに反応する前に、コミュニケーションというテーマそのものに関する深みが組織内に蓄積されているのですね。

森川 そもそも「 NHN」は何の略かと言うと、「ネクスト・ヒューマン・ネットワーク」ですよ。韓国での創業当初から、「コミュニケーションをベースにした会社にしよう」という方向性があるわけです。

古森 コミュニケーションへのこだわりは、創業の遺伝子だったのですね。ということは、LINE以外のサービスについても、同じような開発の考え方が共有されているわけですか。

森川 そうです。例えば、大きな事業の柱であるゲームに関してもそうです。「ゲームを開発しよう」ということではなく、コミュニケーションを軸に、何の要素を入れたらそれが活性化するか・・・を考えたのです。そして行き着いたのがゲーム。コミュニケーションにおいてゲームはどういう位置付けなのか。コミュニケーションのきっかけとしてのゲームをどう作るのか。そういう議論から今のゲーム事業は生まれてきたのです。

古森なるほど、ゲームは事業目的ではなく、目的を実現するツールだったわけですね。

森川 ソーシャルゲームの走りのようなものは、12~3年前に既に開発に成功していました。ただ、それは携帯電話の上では活かせなかったのです。その当時はPCのオンラインゲーム事業に集中する方向性だったのでモバイル事業には力を入れず、結果としてその時点ではモバイルソーシャルゲーム市場への参入が遅れ、ゲーム事業はモバイルソーシャルゲーム市場ほどは大きくなりませんでした。しかし、スマートフォンの登場を受けて、ユーザーの利便性は大きく変わりました。そこで、モバイル事業にも思い切って投資をして今のようになりました。

古森 10年来煮詰めてきたいくつかの深いものがあって、そこにスマートフォンが登場して千載一遇のチャンスとなった。今まで溜めてきたものが花開いた・・・という感じですね。