C-Suite Talk Live 第55回NHN Japan株式会社 代表取締役社長 森川亮さん (2/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第55回NHN Japan株式会社 代表取締役社長 森川亮さん (2/4)

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第55回 NHN Japan株式会社 代表取締役社長 森川亮さん
Calendar2012/08/22

日本法人はクオリティで存在価値を出す

古森コミュニケーションに関して一流の人々が集まって、10年スパンで物事を掘り下げてきた結果がゲームやLINEの成功だということですが、尖った人々がそれだけ長きに亘ってこの会社に居続ける理由というのは、何だと思われますか。

森川 それはやはり、作るものへのこだわりでしょうね。「儲かればいい」という考え方になってしまうと、そこで働く人々のモチベーションも「働いて給料が増えればいい」という方向に行きがちです。我々は、作るものに対する強いこだわりを持っている会社ですので、尖った人々が共感しやすい所があるのかもしれません。どちらかというと、尖がる方向が「儲かる」ではなくて、「深く掘り下げる」方向を向いている人が集まっています。

古森 金銭的側面ではなく、コミュニケーションというテーマを追うこと自体に関心を持った人々が集まっているということですね。

森川 求めるレベルはかなり高いのです。「深く考える」という事を重視していますから、「単なるアイディア」のレベルでは受け入れられません。データも把握した上で深く突き詰めたところを提案できるかが問われます。もの珍しさで入社しても、きちんとした提案がないと相手にされなくなる会社です。その点は非常にシビアです。

古森 徹底した実力主義なのですね。

森川 それから、職人気質な人が多いですね。安く大量生産するというよりは、細かい所にこだわって磨き上げて出すという所。こういうクオリティを高める分野というのは、日本の人材は強いと思います。

古森 そういう尖った方々というのは、こちらに入社するきっかけはどのようなものが多いのですか。直接口説いてこられるのですか。

森川 やはり個人的紹介が多いですね。尖がった人には尖った友達がいて、口コミで集まるというケースが多いですね。もちろん紹介会社なども使いますけど、ベースはどちらかというとそういう形。

古森 本当に腕に覚えのある人々は、仲間内で「来ない?」とか「こういうことをしているよ、一緒にやらない?」とか、声をかけあうのでしょうね。

森川 いわゆる大量採用もしていません。本当に「この人だったら」という人だけ、少数を採用するようにしています。

古森 人材のクオリティに妥協せず、徐々に増やしていく形ですね。

森川 たくさん採用していた時期もあったのですが、そうなるとやはりクオリティが下がるところもありまして。クオリティが下がると、我々の存在意義がなくなってしまいます。クオリティが低いものを出すと、やはり使う方の目にも分かりますし、結局失敗をします。また、その仕事を担った人も組織の中に居づらくなります。

古森 少数であっても、精鋭で戦っていくと。

森川 最近のアップルさんの例もそうだと思いますが、人が多いから良い結果が出るというわけではありません。クオリティの高いものを1個きちんと世に出すことが出来れば、それが爆発的にヒットする時代です。とくにITの分野では。ですから、我々はボリュームではなくクオリティで勝負したいと思います。

古森 だから人材のクオリティには妥協しない。

森川 それに、我々の会社は韓国に本社のある外資系企業ですから、「あえて日本人がやるべき仕事は何なのか」ということを常々考えています。やはり、クオリティ重視という答になります。昔は、日本法人内部で工場のようなものを持っていましたので、社員も多かったのですが、それは福岡と中国に移しました。残った人間には、オペレーションではなくクリエイティブな仕事だけをやってもらいますということで、バーを上げました。

古森 クリエイティブな部分にフォーカス。

森川 より質的に高い部分といいますか。日本人というのは、高い質のものをたくさん見てきたがゆえに、そこに関しては非常にシビアな目を持っていますからね。一方、いわゆるオペレーション分野については、スピードで見ても人件費で見ても、日本の人材を投入して行う分野ではないだろうと思っています。最近工場を持たないメーカーが出てきていますが、そういうイメージです。作るのは出来るだけ安い所で作りますが、考えるのはこちら。

多様性を生かし、結果で勝負する

古森 今の日本法人の状況というのは、NHNグループ内ではどのように受け止められているのでしょうか。私も外資系企業の日本法人の代表をしていますので、そのあたりも気になります。

森川 それは、やはり結果次第ですよね。

古森 おっしゃるとおりです。

森川 今のところ良い結果が出ていますから、日本法人でやっていることにも説得力があります。韓国の方々も中国の方々も、決して「日本だから」というだけでリスペクトしてくれるわけではないので、やはり結果を出さないとだめですね。

古森本当にそうですね。

森川 ところで、ひとつユニークなのは、韓国法人はほとんど100%韓国人なのですが、日本法人は中国人も韓国人も採用しているのです。そういう意味では、こちらのほうが本社よりもグローバル化している面もあるのです。

古森 そうなのですか。人口構成としては、どのくらいが日本人以外の方々になりますか。

森川 今は、25%くらいですかね。

古森 4人に1人ですか。けっこういらっしゃいますね。

森川 そうですね。韓国の方がやはり多いのですが、あとは中国、アメリカ、メキシコの方々も入っていますよ

古森 4分の1が日本人ではない組織環境で、何か運営上工夫しておられる事はございますか。

森川 「どれだけ違いを活かせるか」を、ずっと考えています。ダイバーシティを強みに変えるとでも言いましょうか。

古森 「どれだけ違いを活かせるか」・・・。

森川 日本の社会って、ともすれば何か一個に型を決めて、それに従わない人は排除するというやり方に流れて行きがちですよね。企業でも、偉そうな言葉を並べて、その方向にマネジメントするというパターンがわりと多いでしょう。しかし、それでは我々の目指している方向性の中ではうまく行かないと思うのです。

古森 なるほど。

森川 ですから、例えば企業文化や価値観などを明文化するよりも、尖った人々それぞれの強みを理解して、いかにそれを引き出すかに気を配るようにしています。

古森 全体としての統一性よりも、「個」の強みを開花させる方向に重きを置くわけですね。

森川 会社にとって一番大事なものは、先ほども申しましたとおり「結果」です。結果を出すためには、サービスなり出てくるもののクオリティを高める必要があります。クオリティを最大化するためには、日本人だけでは足りません。日本人以外の方々も含めて、個々の強みを理解して、それらをうまくバランス取りながら組織を運営するようにしています。

古森 ちなみに、4分の1を占める日本人以外の方々は、海外からいらっしゃるのですか。それとも、日本で採用された方ですか。

森川ほとんどは、日本で採用している人材です。韓国でのNHNは、いわゆる入社したい会社のトップランクに入る会社ですので、韓国で募集をして日本採用として受け入れるというパターンもあります。韓国に限らず、アジアにおいてはそういう強みが生かせる会社です。

古森 なるほど。クオリティの高い尖った人材が、アジア全体から集まってくると強いでしょうね。

森川 LINEのグローバル展開は日本法人で牽引していくことになっていますが、まずはアジア、そして英語圏市場への展開も視野に入れています。今後は日本法人から出て海外現地法人の経営を行う人材も出てくるでしょう。そのとき、今この日本の組織で外国の人材と入り混じって仕事をしているという経験が生きてくるだろうと思います。