C-Suite Talk Live 第55回NHN Japan株式会社 代表取締役社長 森川亮さん

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第55回 NHN Japan株式会社 代表取締役社長 森川亮さん
Calendar2012/08/22

ストレートなコミュニケーションが競争力を高める

古森海外も含めて、さらに事業展開のフロントは広がっていきますね。組織も徐々に大きくなっていくことと思います。クオリティを維持しながら新しい事業を仕掛けていくうえで、大事にしておられることは何でしょうか。

森川 そうですね・・・。会社が大きくなる過程で後悔したのが、あまりに制度やプロセスを作り過ぎて、すごく窮屈になったということです。制度やプロセスは一定程度必要なのですが、何か新しいものが生まれる時というのは、やはり感覚的に生まれる場合が多いのです。しかし、制度やプロセスが過多になると、要は「つまらなくなってしまう」という面があるのです。

古森そうでしょうね。

森川それで、一旦作りはしたものの、再びそういう硬くなった部分を壊していきました。よく社内で言うのは、「野球型からサッカー型に変えた」ということです。

古森 野球型からサッカー型に。

森川 サッカーというのは、ポジションがある程度決まっていますが自由度もあって、シュートを打つためにみんな頑張るじゃないですか。一方、野球には打順があって・・・。日本人って、動き方としてはそちらの方が好きなのかもしれませんが、そういうやり方だと成功しないなと思っていまして。今はかなり無秩序に、「ボール持った奴がドリブルシュート」みたいな感じでやっています。

古森企業の立ち上げ当初はサッカー的な場合が多いですよね。そこから大きくなった時にいったん野球化して、またサッカーのスタイルにしたということですね。サッカーということは、組織内のプレイヤー同士のコミュニケーションのあり方も変わりますね。サッカーのスタイルになってから、コミュニケーション面で重視していることは何かありますか。

森川 とにかく「物事を率直に言う」ということを大事にしています。日本の人って「空気を読む」とか、ちょっと変化球を投げたりといったコミュニケーションのスタイルが多いのですが、4人に1人が外国人の組織でそれをやると、かえって誤解を生んだりします。仮に傷つくような内容でも、出来るだけストレートに言うことを心がけています。

古森 傷つくとしても、ストレートに。

森川 多様性の高い組織では、言葉を選んで分かりにくくなるよりも、端的に分かりやすい伝え方が良いと思っています。まぁ、実際傷つく人も多いのですが、私は、「そういう人だ」「嫌なヤツだ」と思われたらいいんじゃないかと思っています(笑)。言葉の解釈に悶々とさせないで、出来るだけ1対1でストレートに伝わるようなコミュニケーションを心がけています。

古森 皆さん仕事は日本語で?

森川 そうですね、基本は日本語です。通訳を入れる場合もありますけど。

古森 皆が同じレベルで日本語を話せるわけではないというのも、ストレート・コミュニケーションの重要性を高めているのでしょうね。

森川 仮に日本語の言葉が分かったとしても、本当のところ日本人が何を考えているか分からない場合というのがありますね。外国人社員から、よくそういう相談を受けます。「実はああいう顔をしているけど、本当はたぶんこうなんだよ」など、解釈したり解説したりするのは大変効率が悪いことです。コミュニケーション面でも調整業務が出来るだけ少なくなるように工夫しなければなりません。

古森その結果が、ストレート・コミュニケーションだと。でもそれは、悪いことばかりではなくて、良い事もストレートに表現したり、認知したりすることになりますよね。

森川 そうです。他社さんが英語を公用語化しましたが、私は、より本質的には「英語に近いようなコミュニケーション・スタイルを取る」という事が経営上の重要事項だと思います。言語そのものではなく、コミュニケーションのスタイルを率直に、ロジカルに、分かりやすくしていくということです。

古森 なるほど。「英語にする」ということが目的ではなくて、コミュニケーションのスタイル変革が御社にとっては命題なのだと。ストレート・コミュニケーションは、組織内に広がってきていますか。

森川そうですね。この会社に入ってきた人たちは、最初は「嫌なヤツが多い会社だな」と思うかも知れません(笑)。

古森 でも、きっと住んでみれば無駄な斟酌などは必要ないですし、「聞いたものがそのまま」であるというのは、ある種の安心感にもつながりますよね。フェアであるとも言えます。

森川 サッカー型に変えましたから、「あの人はパスを回してくれるのだろうか?」「あの人にパスを回したらどうなるだろうか?」みたいな無駄な配慮や心配はなくしたいのですよ。ちなみに、対外的なコミュニケーションでも、本質的には同じだと思います。多少ノイズが出ようとも、やはり出来るだけ率直にシンプルに伝えたほうが良いですね。そのことによって起きてくるノイズよりも、婉曲に伝えることによる誤解のほうが恐いと思います。

古森 良かれ悪しかれ、本当の事がちゃんと伝わるようにするのが望ましいと。

森川 よく韓国の創業者とも話すのですけど、インターネット業界というのは変化が非常に早くて、なかなかそこについていける人がいません。そんな急流の中で、あまり経営者が優しいとダメなのですね。「良い会社」だけど、結局潰れてしまったという事例はたくさんあります。この業界で企業が生き残ろうと思ったら、直言する「嫌なヤツ」の存在が必要なのです。