C-Suite Talk Live第56回 グラクソ・スミスクライン株式会社 取締役人財本部長 四方 ゆかりさん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第56回(1/4)

第56回 グラクソ・スミスクライン株式会社 取締役人財本部長 四方ゆかりさん
Calendar2012/07/23
C-Suite Talk Live 第56回 ~対談エッセンス~
  • グローバル自由競争で成功できる人材をつくる
  • ダイバーシティを高め、阿吽のきかない環境を
  • 決断力のあるリーダーは組織のトラストが育む
  • GSKのマネジャー育成はGSKとして自力で行う
古森 こんにちは。お忙しい中にお時間をいただきましてありがとうございます。この対談シリーズは、各界でリーダーシップをとっておられる方々にお会いして、おもに人・組織の観点からざっくばらんにお話しいただく企画です。企業内のことでも結構ですし、社会全体のことでも構いません。是非、色々とお聞かせいただければと思います。

四方ありがとうございます。よろしくお願いします。しかし、事前にお題がないフリートークというのもチャレンジングですね。本当に用意していませんが(笑)。

古森 できるだけ自然な形が良いと思っておりまして・・・。でもやはり、四方さんのこれまでのキャリアや現在の在籍企業のことから考えますと、「グローバル企業」という角度から何か実感のあることをお話しいただくのが良いのではないかと思います。いかがでしょうか。

四方なるほど。そういうことでしたら、必ずしも当社GSKという視点に限らず、マイクロソフトやGEなどを含めて、「グローバル企業の中の日本という場で人事の仕事をしてきて自分が思うこと」という感じでお話ししましょうか。

古森 是非、お願いします。

グローバル自由競争で成功できる人材をつくる

四方所属先の企業を超えて「グローバル」のことを考えるという意味では、私は少し前に経済同友会のある検討グループで、「グローバル人材をどう作っていくか」というテーマで随分と議論をさせていただきました。日系企業本社の経営層と外資系企業の日本法人経営層の双方がミックスされた検討グループでしたが、その議論が大変良い経験になりました。

古森 興味深い組み合わせですね。どんな議論になったのでしょうか。

四方話せば長くなりますが、結果として一つ重要な気づきがありました。「求めるグローバル人材を日本からどう生み出すか」という課題の本質は、日本企業でも外資系の日本法人でも、実は同じだということです。

古森同じですか。

四方 グローバル人材マネジメントというのは、要するに世界中からベストの人材を国籍問わずに見出してきて、グローバル組織全体で生かしていく営みのことです。ところが、そのような次元で活躍できる日本人の人材は、日系であれ外資系の日本法人であれ、絶対数が非常に少ないというのが現実です。

古森グローバルの舞台で活躍できる人材を、日本からいかにして生み出すか。

四方 一番分かりやすいのは英語力の問題ですが、それはあくまでもベースのコミュニケーション・ツールとしての話です。英語は「出来たら有利」ではなく、「出来ないとまず土台にのらない」と言ったらいいでしょう。その上でもっと重要なことは、「グローバルで通用するロジックにもとづく仕事のやり方を、言語として英語で遂行できるか?」ということですね。

古森英語を使って話す「中身」のほうを良く見ていかなければならない。

四方 自分の考えを表現できる、相手と議論できる、場合によっては自分のAという意見でもなく、相手のBという意見でもなく、議論の中で新たなCを生み出すような展開も出来なければなりません。そういう発想や思考でマネジメントができるということが非常に重要です。逆に、この点が日系企業であれ外資系企業の日本法人であれ、日本の人材が共通して抱えている重要課題の一つだと思います。

古森 英語は土台であって、価値や競争力そのものではない。英語を介して表出される思考や行動が世界に通用するものでなければならない・・・ということですね。

四方 そうなのです。相対的に見ると、いわゆる外資系のグローバル企業の方がそういった面を鍛えられる場面をたくさん持っているのは事実だと思います。日本人であろうが何人であろうが、それぞれの仕事に対して結果が出せるのであれば、チャレンジの機会は平等にあります。

古森私がキャリアの後半生で見てきた外資系プロフェッショナルファームの世界も同じです。人は仕事へのチャレンジ機会の前では平等で、実際に力を発揮できた人が認知されていきます。

四方企業内部の視点で言えば、仕事機会をめぐる自由競争ですね。ただ、現在のところ、一般的な日本の人材にはかなり苦手な競争になっていると思います。マイクロソフトやGEであっても、これまでのところ数名の日本人しか本当の意味でのグローバル・マネジメント・チームに入って行けた人は見ていません。

古森たしかに、他を見渡しても数は限られますね。

四方 さらに、そのグローバル・ポジションに就いて成功できるかどうか。「日本人だから」成功するのでなく、「その人だから」成功したという人材が求められます。人事の世界で仕事をしている私の立場としては、この状況をなんとかしたいと思っています。日本からグローバル人材を生み出したいですよね。

古森 その思いも悩みも、日系や外資系を問わず、日本という場でグローバル人材マネジメントに携わる人々の共通テーマの一つでしょうね。特に何が変化していけば良いのでしょうか。

四方 そうですね・・・。個々人の単位では色々と違いがあると思いますが、多くの人に当てはまるだろうと思うのは、「結果志向」と「プロセス志向」のバランスですか。

古森 「結果志向」と「プロセス志向」のバランス。

四方 典型的な日本の人材は、「良いやり方をしていれば、特に期限や目標値を定めなくても結果はついてくる」という考え方に親和性を持っています。

古森 たしかに、そういう傾向はありますね。

四方 一方、グローバル全体で見た場合のマジョリティは、「目指したタイミングに目指した結果が出ていることが最も重要」という考え方なのです。いずれか片方だけを取るのではなくバランスの問題なのですが、日本の典型的な人材の場合は、もう少し「結果志向」の要素を強める必要があると思います。

古森 「結果至上主義」でも「プロセス至上主義」でもなく、バランスの問題ですね。いわゆる外資系グローバル企業でも、強い組織を持つところでは、両者のバランス感があります。

四方 この両者のバランスが崩れて「プロセス」に考え方が偏っていると、少なくともマネジメント職としては日本の枠を超えた活躍は難しくなります。「プロセス」の重要性を理解しつつも、より「結果」を重視するスタイルのほうが、多様化したグローバル組織における汎用性が高いと思います。この考え方自体が、グローバル人材の要件の一つです。

四方 ゆかり(よも ゆかり)さん プロフィール

1987年東京外国語大学卒業後、日商岩井株式会社へ就職。
その後ゼネラルエレクトリック(GE)へ転職。1995年に日本人としては初めて、GEにおける将来の人事リーダーを養成する2年間のプログラムに参加。1998年にGEキャピタルカーシステムにおいて人事総務部長、その後、GEフリートサービスの人事総務部長、GE横河メディカルシステムの取締役人事部門長に就任。
2003年にAIU保険会社へ人事担当執行役員として、 2006年以降はマイクロソフト株式会社執行役人事本部長に2011年6月まで在籍。
2011年7月からはグラクソ・スミスクラインにおいて人財本部の責任者として就任。