C-Suite Talk Live第57回 明治ホールディングス株式会社 代表取締役社長 浅野 茂太郎さん

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第57回 明治ホールディングス株式会社 代表取締役社長 浅野茂太郎さん
Calendar2013/04/24

一日1000件、お客さまの声を聴く本社

古森 御社の場合、その「勘の冴え」をどのようにして生み出しているのでしょうか。

浅野それが、先ほど「meiji way」の最初に挙げていただいた「お客さまと向き合って、お客さまから学ぶ」ということです。

古森 やはり、そこですね。何か、具体的に「お客さまと向き合う」ための取り組みをしておられますか。

浅野例えば、「お客様相談センター」ですね。

古森 「お客様相談センター」。それは、普通のコールセンターとは違うものなのでしょうか?

浅野名称は一般的なものかもしれませんが、実態は違う部分があると思います。まず、お客様相談センターは、この本社の入っているビルの中にありまして、約100人の社員が在籍しています。交代制ですから、常時100人全員がいるわけではありませんが。

古森 ここの本社の中にあるのですか。

浅野はい。本社の中で、かなり大きなスペースを占めていますよ。ほぼワンフロアをお客様相談センターに当てています。営業本部と同じくらいの面積です。

古森 ワンフロアですか。本社内でお客様相談センターと営業本部と同じ面積というのも、何か示唆的なものがありますね。

浅野お受けしている電話の数は、おそらく、食品業界では一番か二番になるだろうと思います。年間で20万件ほど、一営業日あたりでおよそ1,000件の電話をお受けしているイメージです。

古森一日1,000件というのは、すごい数ですね。お客さまの声の中身は、どのようなものが多いのでしょうか。

浅野ご指摘を頂くこともありますが、大多数はご相談やご意見です。例えば、「赤ちゃん相談室」というものがあります。弊社は粉ミルクも扱っていますので、それに付随して、いろいろなご相談が寄せられるのです。子育てを経験した栄養士さんも配置して、粉ミルクのことに限らず、子育て全般のご相談に乗らせていただくようにしています。これは、多くのお客さまに強いご支持を頂いております。

古森 そうでしょうね。この分野の相談というのは、本当に助かると思います。

浅野医薬の事業では、「くすり相談室」というものもあります。こちらは、医師、看護師、薬剤師など主に医療従事者の皆さまからお電話をお受けしています。いずれの場合も、お客さま視点で真摯に対応させていただいています。

古森 その膨大なお客さまからの声を、いかにして組織へとつないでいくのでしょうか。電話を直接受ける方々は「勘」が冴えていくかもしれませんが、会社全体としての「勘の冴え」を生み出していくために、何をしておられますか。

浅野 例えば、毎月お客さまの声をまとめて、部門別に分析して、それをもとに各部門の代表が集まって議論する場を設けていますね。研究開発、製造、マーケティング、営業・・・など、バリューチェーンの全体から人が参加して、そこに医薬からくすり相談室やホールディングのCSRなども加わって、有機的な議論をしています。

古森 関係者全員で集まって、同じテーブルの上で、同じものを見ながら議論をしていくわけですね。そこには、お客様相談センターの方々も参加されるのですか。

浅野 お客様相談センターが主催する報告会に各方面から社員が参加します。センター員は、ある意味、「お客さまの代弁者」としてお客さまに成り代わり生の声を皆に紹介し、また、さまざま現実的な指摘をしてくれています。皆、積極的に取り組んでいますよ。

古森 山ほどあるお客さまからの声をきちんと見えるかたちにして、関係者が一堂に会してそれらに向き合って、毎月議論を重ねていくわけですね。これほどの数の情報に毎月向き合って考え続けたら、確かに勘が冴えてくるでしょうね。

浅野そうですね。こうした会議は時間がかかりますが、結局、問題解決も商品開発への反映も速くなりますし、それらが「当たっている」確度も高まりますから、全体としてみれば効率が良いのです。

古森 お客様相談センターは、組織としての「勘の冴え」を生み出す原点なのですね。浅野さんも、良くフロアに行かれるのですか。

浅野 行きますよ。何か重要課題がある時は、直接現場に行って顔を出しますし、そうでなくても頻繁に出入りしています(笑)。やはり、日ごろから顔を出していると、いざというときに情報も行動も速くなります。私以外の役員も、よくお客様相談センターのフロアには顔を出していますね。

古森 勘の冴えの原点と経営陣の間に「距離がない」というのは素晴らしいことですね。