C-Suite Talk Live 第58回 昭和産業株式会社 常務取締役 新妻 一彦さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第58回 昭和産業株式会社 常務取締役  新妻 一彦さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第58回(2/4)

第58回 昭和産業株式会社 常務取締役 広域営業部・製粉部・飼料畜産部担当 新妻 一彦さん
Calendar2014/01/20

修羅場体験で得た従業員が一番の経営軸

西田まさに人材スペックの高機能化ですね。単純な人員削減は選択肢にはなかった。

新妻 そうですね、それには私個人としても辛い原体験があります。

西田 どういったご体験でしょう?

新妻 課長になったぐらいの時、39歳だったでしょうか。学校給食を提供する子会社への出向が命じられたんです。その子会社は約40年間地元の小中学校やスーパー、小売店にパンや和洋菓子を卸していたのですが、長年赤字続きで、債務超過に陥っていました。半年間自分の目で見て整理するか否かを決めてくれというミッションでした。

西田 重いミッションですね。

新妻はい。いろいろ精査し努力してみましたが、でも、どうやっても成り立たないという判断で、結局会社を整理するという結論に至りました。ただ、とくに地方なので職を失ってしまうとそう簡単に次の就職先が見つかるわけでもありません。決断して閉鎖するまでの4か月間、ひたすら従業員の皆さんと話をして回りましたが、そういった渦中にあっても従業員の皆さんのモティベーションを維持して子供たちのために学校給食は供給し続けなければなりません。

西田 それは大変だ。で、供給は継続できたのでしょうか?

新妻 従業員の皆さんの社会的使命感が強かったお蔭で、何とか乗り切ることはできましたが、本当に色々な葛藤もありました。

西田 胸が締め付けられますね。

新妻一人ひとり従業員と向き合い再就職の話などもしました。こちらの資本の都合で閉めることになったので、本当に申し訳なかった。最終日、お別れ会は出るつもりはありませんでしたが、従業員の皆さんから出席を促され、最後はみんなと抱き合って泣きながら「ありがとう」と別れました。ものすごい負い目も感じながらも、また一方で、精一杯できたという満足感も感じました。

西田お話を聞いているだけで、従業員と抱き合って涙を流される新妻さんが想像できてジーンとしてしまいます。

新妻 そんな経験をして、人員整理だけは自分の人生の中では二度とやりたくないと思ったんです。よく会社は誰のものか、ステークホルダーで一番大切なのは誰かという話があるじゃないですか。株主だとか。自分にとってのステークホルダーは従業員が一番。場合によっては昭和産業は甘い会社だと思われるかもしれないですが、従業員あっての会社だと思っています。

西田そういった修羅場を経験したからこそ、「会社は人だ」という経営者としての軸が出来たのですね。

新妻 人と人とのコミュニケーションは本当に大切だと思っています。例えば、我々経営陣が社内で従業員とすれ違う際にも、一言声をかける、あるいは、ニッコリ微笑む、それだけでその日一日、気持ちよく仕事ができると思うんです。あっ、常務にわかってもらえていると・・・。

西田 リーダーのちょっとした反応は自分たちが思っている以上に影響が大きいものですよね。ドラッガーも「コミュニケーションを成立させるのは受け手である」と言っていますが、まさに受け手がどう感じるかを常に意識することがリーダーにとって大切なことです。そう言えば、先ほども、ご一緒したエレベーターで乗り合わせた新入社員の方へお声を掛けていらっしゃいましたね。

新妻 はい。彼は先日の社内イベントで「ふなっしー」を演じたんです。

西田新妻さんから声を掛けられた際の笑顔が印象的でした。一方で、そんな若い方々にいかに修羅場を経験してもらうかも重要ですね。

新妻 若い人には「失敗をしても良い、あなた方の失敗で会社が滅ぶことはない、そのかわり同じ失敗は二度としないで、成長のための失敗、日々の失敗を糧にしてくれ」と、事あるごとに言っています。あなたの権限内で失敗しても会社はつぶれませんからと。

西田 若手は思うように育っていると感じますか?

新妻家庭での子育てにも通じることかもしれませんが、今は非常に過保護になっている気がしますね。人によるとは思いますが、我々の時代に比べると、熱くなり難くなっていると言えるかもしれません。弊社では複線型人事制度を導入しており、内定から3,4年目までキャリアを積んで自己申告で次の方向性が決められます。この過程で自律心が生まれると良いと思いますし、もっと海外にもどんどん出て行ってもらいたいと思います。