C-Suite Talk Live 第58回昭和産業株式会社 常務取締役  新妻 一彦さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第58回 昭和産業株式会社 常務取締役  新妻 一彦さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第58回(4/4)

第58回 昭和産業株式会社 常務取締役 広域営業部・製粉部・飼料畜産部担当 新妻 一彦さん
Calendar2014/01/20

ダイバーシティへの取り組み

新妻 今、もっとブランドメッセージを強く発信しようとしています。そこに出てきたのが従来の「日本をおいしくする昭和」というフレーズのように川下だけではなく、もっと川上である穀物に近いところから川下にいたるまでというメッセージで「穀物で美味しいソリューションを!」をブランドメッセージに掲げました。11月14日の日経に1面広告を出したのですが、ベースとなるブランドメッセージを社内で公募すると若い人達からはいろんな面白いアイデアが出てきました。フィットするものも出てきて有り難かったです。

西田若い人の発想を如何に引き出すか、如何に面白がらせるか、ということですね。ところで、新たな発想、創造という意味において、ダイバーシティについては、どのように考え、取り組んでいらっしゃいますか?

新妻 一番大きい問題でしょうね。2012年で1億2600万人でしたか、日本の人口ね。3100万人ぐらいが65歳以上と言われて、まあ20何%。あと干支が1クールしたら1000万人の人間が減る、逆に高齢者は600万人増える。日本のシステム全体にとって少子高齢化というのは一番大きい問題ではないかと思います。

西田 毎年鳥取県一県分の人口が減っていく感じですものね。

新妻 食品業界においては高齢化というか超高齢化、平均寿命が80歳を超える日本で、さらに少子化が進んでいます。当然、食品業界は胃袋の大きさと口の数で勝負が決まる業界なので、これからの一番の課題だと思っています。そこでイノベーションをどう起こしていくのか。今まで人口が増えるという前提で行けば、先進国も含めていろんな経験をしてきました。当然作れば売れるという。ところが、これからの状況は日本が世界で最初に経験する。人口減少しながら高齢化し少子化するという全く異次元のステージに立った。どう勝負するか。当然人事システムも含めて社会全体のシステム、食品の開発など大きな問題であると思っています。

西田マーサーでもプロボノとして世界経済フォーラム(ダボス会議)の高齢化対策をベースとしたレポート作りをサポートしていますし、大変大きな課題だと認識しています。社内ではどういう手を打っていますか?

新妻 定年制の延長で、高齢者の再雇用をやっています。現状では従業員の7%が60歳以上。20年で10%ちょっと超えるぐらいになると思います。そうなってくると何が起きるかというと高齢者の健康維持、モティベーションをどうするかですね。もう一つは人員が増えるのでコストアップ要因にもなる。この課題を乗り越えないと。色々なシミュレーションをやって賃金テーブルの改定をしないと、コストアップに耐えきれなくなってしまいます。また、高齢者にどう活躍していただくかという点ですが、正直、まだ明確なものは見えていません。現時点では7%ぐらいなのでこれまでやっていただいていた業務の延長線上で吸収できていますが、これからについては良いアイディアはまだ浮かんでいません。

西田斬新なアイディアは若手からというのがこれまでの発想ですが、今後は消費の中心層そのものが高齢化していくわけですから、高齢者が新商品開発をリードしてもおかしくないわけで、その意味で若手と高齢者の絶妙なバランスミックスが経営のかじ取りで増々重要になってきますね。

新妻 若手とのコラボレーションはやっていきますが、現状の組織ではフラット化し過ぎているかもしれません。各部マネージャーが一人しかおらず、その上が部長クラスです。早く若手を登用したいが、されど高齢者もうまく使っていく必要がある。役職定年がありましたが、それを上げていく必要があり、でも若手を登用しなければいけないという何ともジレンマに悩んでいます。

西田 そこにジェンダー、特に、女性の活用問題も絡んできますね。

新妻女性活用に関しては正直まだ少ないですね。部長、役員クラスがいない状態です。これは毎回株主総会でも指摘されています。ターゲットは女性が一番多い食品会社なのに男性ばかりだと叱られています。女性は結婚で退社される方が多くて、残ってやっていこうという方がなかなか少なかったというのが一つあります。やっとここにきて、特に開発系は女性のリーダーがずいぶん増えてきました。女性のアイディアが生かされるので良いことかと。

西田 営業現場で女性の活躍の場はあるような気がしますが。

新妻営業も女性を増やしているのですが、難しいのが食品業界はいまだにドメスティックな業界であるといことでしょうか。商流が非常に複雑で、我々のところは必ず問屋さんが入ります。商社の下に2次店、3次店があり、昔ながらの商慣習で男社会という面があります。業界的に古いというところに改善の余地が残されています。一方で、そういった場所ではないところ、営業でもユーザーとメーカーが直結しているところ、小売りの世界の方が女性活用は進んでいます。

西田 マネジメントになりたくない、出世したくないという女性もいますから、必ずしも下駄をはかせることだけでは解決しない問題もあります。

新妻 人によって説得したり、望まなければ職務グレードを落としてもらってずっとやっていただく場合もあり、本人の選択に任せていますね。いずれにしても、今後どうあるべきかですが、もっと女性の営業担当は増やしたいと思っています。開発系は女性比率が圧倒的に高いですから、これからも自分たちがスーパーやコンビニで買うもの、欲しいものを女性目線で開発してもらう。既に開発系はリーダークラスが女性になりつつあります。

西田御社製品の主ユーザーとしての女性目線は大事ですね。

新妻 退職された女性については、カムバック制度を設けています。子育てが一旦終了したり、何らかの理由でまた働きたい方については戻って来ていただく。フルタイムでも時短でも。むしろカムバックしたい方はフルで働きたい方が多いようです。

西田 ライフステージの変化が大きい女性ターゲットの施策ですね。最近の世相にフィットした制度だと思いますが、カムバックしてもらって実際戦力になっていますか?

新妻そこはまだ検証が必要ですね。世の中の変化が激しいので当時と業務の進め方が違うので効果を測るには若干時間が必要ですが、即戦力としても大いに期待しています。

世界へ出て直に触れあうからこそ理解できる

西田 最後に、特に次世代を担っていく若手の皆さんに向けてアドバイスをいただけますか?

新妻 先ほどもグローバルという話がありましたよね。私自身は中国の事業を立ち上げた経験もありましたが、特に言葉の問題は、十分に克服できなかったという反省もあるので、若い方にはもっともっとグローバルになってほしいと思いますね。いろんな国の人達と直にフランクに話すことは本当に価値があります。例えば今、中国は色々な問題があると思いますが、少なくとも私が付き合った中国人の中に、そんな悪い人は誰もいなかった。

西田 日本人の中国人に対する嫌悪感は他国に比して高いですが、逆に言うとグローバルで皆高いというわけではない。引っ越しできない隣人ですから、その辺りも考慮しないと日本国内の報道だけ見て感情論だけで先走るのは危険です。

新妻 おっしゃる通りで、実際、肌で付き合って交渉していて、もう二度と顔を見たくないとか、日本をバカにしている人などいなかった。未だにお付き合いが続いています。行ってみて話し合ってコミュニケーションして、そうやって人間対人間で付き合ってみて初めてわかる部分があります。活字だけで判断しないで、現場に行って自分の目で確かめて判断してほしい。そのために積極的にどんどん海外に出てほしい。特に若い人に。我々もそう。インターネットで見て分かった気になってしまってはいけない。民族の問題など。行ってみて初めて分かる。今の若い人にはもっと大きく羽ばたいてほしい、そう意味ではもっと海外に行く機会を増やしてほしい。それ以外では自分が出来なかった部分も含めて最低限の語学は学んでいただきたい、そう思います。

西田 海外に出て直に触れあえというメッセージ、全くおっしゃる通りだと思います。今日はお時間をいただき本当にありがとうございました。

新妻 いえいえ、こちらこそ楽しかったです。