C-Suite Talk Live 第59回  マガシーク株式会社 取締役 原田 由佳さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第59回  マガシーク株式会社 取締役 原田 由佳さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第59回(2/4)

第59回 マガシーク株式会社 取締役 原田 由佳さん
Calendar2014/04/30

イノベーションの源泉

西田i-modeは当然として、このプロジェクト自体がある意味、イノベーションだったと思いますが、当時のNTTドコモになぜそういうことができたのでしょう?

原田当時は独占的な電話の収入があり、先立って戦略を立てることが出来たので、それだけ余裕があったんだと思います。あとは何か原動力のようなもの。i-modeの時は当時の社長の大星がやろうと思ったのがきっかけで、その一声がなければi-modeは生まれていなかったと思います。

西田 つまり、トップがコミットされていたと。イノベーションが叫ばれている今、必要とされているのは、その原動力なんでしょうね。

原田それが別に上からの話であろうと、社員からのきっかけであろうとそこは関係ないにしても、なかなか出てこないのも事実ですよね。

西田 では、どうやったら出てくると思います?

原田よく夏野さんがおっしゃっていましたが、イノベーティブなアイディアは今の現実からだとなかなか出てこない。10年後のことを考える。そのために今何をそれに向けてやるべきか、と。

西田 SFの世界を考えるように思考して、現状で足りないところを埋めていくということですね。

原田そういうことかと思いますね。ビジネスモデルには結局色々なものが既に出ているので、未知なる機能や利便性を乗せないとイノベーションになっていけないですよね。それはどこまで現状に囚われずに、5年後、10年先の未来を想像するかにそのヒントがあるのだと思います。

西田 日々の仕事の中ではそれが分かっていても難しいことですよね。

原田そうですね。ですから大星さんの一声だって、きっと5年後を見据えて言ったものだったんですよ。

西田 そういった機会を与えてあげる、あげられるというのが経営者としての資質なのでしょうね。

原田そうですね、自分自身もそういった視点を持っていなければいけないし、メンバー一人一人も、やはり今やっていることの5年後にもっとどんなことがあったらユーザーが楽しくなるか、便利になるかというのをもっと突き詰めて考えなければならないんでしょうね。

流れに逆らわず、チャンスは逃さず

西田ところで、原田さんはもともとはNTT本社にいらっしゃったのですよね。ドコモに来るまでどのようなキャリアを歩まれたのですか?

原田テレマーケティングなどのネットサービスを全国に普及させるためのマーケティング活動、研修センターのインストラクター、上層部の研修企画など、まあ色々なことをやってきたという感じですね。

西田 ドコモへの転籍は人生の転機というものだった。

原田 はい。NTT本社の中で自分がやりたいことがよく分からないと思っていたところにドコモへ行かないかと声がかかったんです。当時コンシューマーサービスがやりたいなぁと思っているところだったので。

西田 渡りに船だった。

原田 そうですね。最初は法人営業でした。それも全く経験がない業界でした。その法人営業のトップがたまたま榎さん(編注:前述i-modeでのリーダー)だった。法人営業に行かなければi-modeは担当しなかったというご縁の巡り合わせですね。

西田 i-modeプロジェクト参画のきっかけですね。

原田 私がものづくりのプロでも何でもないことを榎さんも良く知っていましたが、松永真理さんが来られるということなので、じゃあ誰か女子がいるか、ということでたまたま近くにいた私が連れていかれたのだと思います。

西田 人との出会いこそが成せる業ですね。

原田 だから、「選ばれた」という感覚はあまりありません。自分から望んではいないけど、行かないか、と声が掛かった時に「行きます」とは答えた。ラッキーな部分が多かったところがあると思いますね。

西田 それはご謙遜でしょう。新しいものに飛び乗るリスクはあまり考えない?

原田 考えないですね。それを考えていたら、i-modeからドコモドットコムという子会社を立ち上げることになった時に、設立をやりますとは言わない。そういうのは構わないですね。

西田 ここに原田さんの決断の速さが伺えますね。では何を考慮するのでしょう?

原田 どういう仲間と、どういうサポートがあって、何をやるのかというのを自分の中でぱっとイメージして、あ、いいかも、と思えばやってみるというそんな感じですね。

西田流れに逆らうことはしないが、周囲の状況を鋭く感知することで生まれた自らのひらめきを信じ、巡ってきたチャンスは逃さない、という感じですね。穏やかな中にも野生味を感じますね。

原田 いえいえ、自然体なだけです。

西田 そんな原田さんの軸って何ですか、と人に聞かれたら何と答えるでしょう?

原田 やはり本業が携帯を通じたコンシューマーサービスなので、ユーザーの感覚を一番理解しておくということですかね。これは絶対美しいと思えばユーザーも美しいと思っているのだろうなぁという。

西田 軸がぶれないためにも感性を研くことが欠かせませんね。

原田 価値観に関しては、ユーザーのトップの2割は別だと思いますけど、残りの8割のユーザーの感覚については、私自身がきちんと押さえておこうと思っています。この軸は、これまで経験したすべてのビジネスに当てはまることですし、今のマガシークでもそれが軸になっていますね。

西田マガシークの話が出たところで、そのマガシークへの異動の経緯ですが。

原田 マガシークへ異動する前に2社の立ち上げをしました。

西田 ドコモドットコムというコンサルティングと投資をするi-mode系の会社の立ち上げから軌道に乗せるまでをやり遂げ、更に、mmbiという携帯電話の放送局を立ち上げを成功させたのですよね。

原田 出向したら普通は本社に戻ります。出向と本社を繰り返したり、支店と本社を繰り返したり。みんなきっと本社のどこに戻りたいの、と考えていたと思いますが、自分からもう一度出向したいと。それは言いましたね。

西田 自然体で直観を大事にされながら、随所で適切な選択をされてきたという訳ですね。