C-Suite Talk Live 第65回 株式会社堀場製作所 理事 野崎 治子さん 松尾 孝治さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第65 株式会社堀場製作所 理事 野崎 治子さん 松尾 孝治さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第65回(1/4)

第65回 株式会社堀場製作所 理事 野崎 治子さん グローバル人事部長 松尾 孝治さん
Calendar2015/09/08
C-Suite Talk Live 第65回 ~対談エッセンス~
  • 社是『おもしろおかしく』という創業者の思い
  • お互いのリスペクトから始まるグローバル経営
  • HORIBA流ダイバーシティとリーダー育成
  • 居場所と出番を作るのが人事の仕事

社是『おもしろおかしく』という創業者の思い

鴨居本日はどうぞよろしくお願いします。まず御社の概要や企業文化についてお伺いできればと思います。

松尾 当社は1953年の創立です。事業セグメントは5つに分かれておりまして、自動車・環境プロセス・医用・半導体・科学で、それぞれ順調に業績を伸ばしております。世界市場のシェアとしましては高いシェアのものが多くあります。

鴨居 シェアが100%というものもあるのですか?

松尾 そうですね。血球計数を計るCRP計測装置は特許の関係もあり100%となっております。自動車の排ガス測定装置では長らく世界シェア8割で、ほぼ全ての自動車メーカーに納入しています。また、経営計画では顧客視点を重視し、「One Company・マトリックス経営」の完成を目指して進めています。グローバルネットワークという観点では37の会社が世界にありまして、約6,000名のグループ従業員総数のうち58%が海外のメンバーになっています。
(注:インタビュー後の2015年7月14日に英国MIRA社を買収し、グループ会社は38に、従業員総数は約6,600名となった)

鴨居 グローバル化が進展しているわけですが、御社の企業文化はどんなところが特徴でしょうか。

松尾 堀場雅夫という創業者が1945年に学生ベンチャーの先駆けとして立ち上げた会社で、社是が『おもしろおかしく』です。色々な拠点にもこの社是を記載した額を掲げておりますが、現地の従業員にもなかなか評判がいいです。

鴨居 英語では”Joy and Fun”なんですね。

松尾 はい。そうですね。『おもしろおかしく』の実現を支える人事の基本方針は「オープン&フェア」、「加点主義」、「コミュニケーション」の3つを重点に置いています。結果の平等ではなく機会の平等を重視しています。これは評価のルールを明らかにした上で正しく評価するという基本方針です。また、「見逃しの三振ではなく、空振りの三振」とチャレンジする人を評価する加点主義を取り入れています。そして、Face to faceのコミュニケーションを重視しています。毎月誕生会を開催し経営陣と社員との直接コミュニケーションを図っています。この他では英語のグループソングで一体感を醸成したりといったことも行っています。

鴨居社是を持つだけでなく、それを実現していく人事上の仕組みも考えられており、社員の間に定着していくことにつながっていらっしゃるのですね。

松尾 はい。人財開発にも力を入れており、野崎が学長を務めている『HORIBA COLLEGE』という社内教育のプログラムがあります。こうした活動もあってか、9年連続で「働きがいのある会社(Great Place to Work)」に選出されています。それからブラックジャックプロジェクトという仕組みもあります。現場から提案や改善が持ちあがる仕組みで、トップからの指示だけではなく、ボトムアップとの双方で企業を成長させようという考え方に基づくものです。ここでは単に結果だけを求めず、社員の自主性と活動プロセスを大切にしながら進めています。また毎年11月にワールドカップという形で全世界から各エリアの優秀テーマの代表が集まり、その中から最優秀の活動を決定して表彰しています。

鴨居 そこまでの活動の広がりは、すごいですね。

松尾 先ほど申し上げたHORIBA COLLEGEは、講師を社内から厳選する形で開発・生産・営業・管理と色々な学科を設けております。160名以上の社内講師と1,200名以上の従業員が生徒として学んでいる状況です。海外への赴任も積極的に推進しており、執行役員は68%、管理職で36%、一般の従業員で16%と、日本人社員の海外赴任経験者も多くなっています。海外研修も進めており、「自分自身が海外に入って『外国人』を体験しましょう」ですとか「違いがあるのが当たり前であることを認識してほしい」あるいは「母国の歴史や文化が語れるか試してほしい」ということを伝え、「修羅場や苦労、失敗をたくさんして来なさい」と送り出しています。

鴨居 研修センターも充実していらして、暖炉を囲んで話し合うために夏でも暖炉に火が付いていると聞きました。

松尾そうですね。必ず火を付けているんです。暖炉のまわりに人が集いコミュニケーションをはかるための仕掛けのひとつでもあるのです。ここでは、消灯時間を設けていないので、お酒を飲みながら何時まで話していてもいいという状況にしております。

鴨居 御社についてのお話は以前にも伺う機会がありましたが、こうやって改めてお聞きすると、創業者の堀場様の精神がすごく生きているんだという風に思いますね。野崎さんが学長を務めていらっしゃるHORIBA COLLEGEも社内文化の継承を含め大きな意味を持つ仕組みだと思いますが、もう少しご紹介いただけますか。

野崎私は、階層別教育が人事の仕事で、専門研修はそれぞれの職場で行ってもらおうと思っていたのですが、社長から「今のスピードでは人財の育ち方にムラがある。OJTに任せていては、質、量、スピードが確保できないから、体系化して継続できる仕組みを作るように」との指示があったのがきっかけです。
50代の部長クラスから20代の一般社員まで集まって、何を教えたいか、何を教えてほしいかの観点でプログラムの洗い出しを行いました。教育というのは教える人が大事で、教えようと思う気持ちがあることが伝承の元になっています。どこまで教えるべきか、どこから先は自分で考えてほしいかを講師が考えることにより内容も充実していきます。一方で「教える人を育てたい」という思いも強く、講師のための教育という意味もあります。

鴨居教える側も教わる側も日々の仕事を抱えて非常にお忙しくされており、ついつい、こうした教育の場への時間を割くことが出来なくなるという懸念もあるかと思いますが、この仕組みが定着して続いていらっしゃるのは素晴らしいことですね。教える側の意欲をかきたてるような仕組みはあるのでしょうか。

野崎 うちの会社、結構教えるのが好きな人が多くて(笑)。社長が管理職のミッションに人財育成を明確に入れており、そういう文化が形成されているということだと思います。「管理職になったら何か教えられるテーマを持て。今まで仕事をやってきて何もないのは逆に恥ずかしい」と(笑)。

鴨居 なるほど。それは皆さん緊張感を持って取り組むことにつながりますね。

野崎 治子 (のざき はるこ)さん プロフィール
理事 管理本部CSR担当 HORIBA COLLEGE学長

1955年生まれ。京都大学薬学部卒業。
1978年福利厚生子会社ホリバコミュニティ入社、1980年堀場製作所に転籍。
人事課、経理課を経て、2001年人事教育部部長、2008年より管理本部人事担当副本部長。2014年4月より現職。

松尾 孝治 (まつお たかはる)さん プロフィール
管理本部グローバル人事部部長

1965年生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)フランス語学科卒業。
1989年ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)入社、1992年堀場製作所入社。
海外営業部、企画開発部、経営管理部、基幹システム導入プロジェクト、中国駐在などを経て2011年に法務部長。2015年1月より現職。
中小企業診断士。