経済成長地域の世界的な躍進にむけた潜在能力

Voice on Growth Economies

経済成長地域の世界的な躍進にむけた潜在能力

ARDAVAN MOBASHERI
New York City, United States
アダバン・モバシェリ氏はCorporate Economic Strategy Advisorsの設立者。 経済・会計・経営の講師としてご活躍されています。

経済における覇権は西洋から東洋・南洋へと移り変わりつつあります。しかし、必ずしも全ての船が波に 乗れるというわけではないでしょう。経済が成長する中、組織がグローバル競争で生き残りたいのであれ ば、新しい技術を受け入れ、より高度なサービスを提供する組織へと転換を図ることが必要になるでし ょう。

 

21 世紀の経済の歴史は浅いものの、初めの20年間については、「世界経済リーダーの移行期」と要約することができます。北大西洋を中心とした経済は1世紀半ものあいだ世界経済を支配してきましたが、アジア、ラテンアメリカ、アフリカといった経済成長の著しい地域に主導権を渡そうとしています。今世紀も30年が経過する頃には、太平洋と南半球に世界経済成長の基盤が移行しているものと思われます。

特にアジアとラテンアメリカにおいて顕著に見られる教育水準が上がった中流階級の増加に伴い、これらの地域における消費及び事業投資の伸びが世界の経済活動のけん引役となるばかりでなく、高級消費材及び福利厚生、保険、投資などのサービス領域へと徐々に変化していくでしょう。

世界経済リーダーの移行

金融危機がピークとなった2008年以降、高度経済成長地域1が世界中で新しい経済活動を席巻してきました。世界銀行の集計によると、世界経済はこの期間にGDPを10兆6550億ドル伸長さThましたが、うち約8兆2800億ドル、 つまり77%以上は高度経済成長地域におけるものとのことです2。今世紀初めより、すべての新規事業活動のうちの65%近くが、高度経済成長地域で起こっています。世界経済に占める高度経済成長地域による新規事業活動が 2000年末時点で30%だったのに対し、2015年末時点では42%以上に上昇したことが明らかになっています(図1を参照)。

金融危機以降の景気は、概して以前よりも回復に時間がかかっており3、これが、投資、雇用、規制環境に悪影響を及ぼしています。しかしながら、2008年以降、高度経済成長地域の景気が(金融危機の発生源である)北大西洋 地域と比較してより早く回復した要因は、堅牢な財政収支、好ましい人口動態、将来の収入増に自信を強めつつ消費を伸ばしている中流階級の拡大です。比較的安定した財政収支のおかげで、(特にアジア全域、ラテンアメリカおよびペルシャ湾近郊において)国や地域の住宅および交通インフラへの継続的な公的投資が可能となり、急激な都市化を進めることができました。医療や教育インフラへの投資は、寿命を延ばし、生産性を向上させ、農業、製造業、さらには一部のサービス業に至るまで、相対的な競争力を向上させました。

図1. 世界GDPシェア


中国経済の成長が平均4.0%という、より持続可能なレベルに収束してきていることもあり、高度経済成長地域は2000年から2015年の平均と比べれば僅かな減速を見せるでしょう。それでも、高度経済成長地域は北大西洋中心とした地域の経済成長を上回るでしょうし、2030年までには世界経済 のリーダーが入れ替わるものと予測されます(図2を参照)。

『Voice on Growth Economies』について

マーサーが2017年春に発刊した『Mercer/Voice on Growth Economies』は、アジア、ラテンアメリカ、中東・アフリカで活動する企業の人事・財務リーダーを対象に現在のトレンドや課題についての記事をまとめたものです。マーサーのコンサルタントや専門家による執筆記事や事例を公開し、将来の企業成長と、属する社員のHealth, Wealth, Careerの進展をサポート致します。