ジェンダーバランスの改善に向けた4つの大きな障壁を、企業はどう克服できるのか

ジェンダーバランスの改善に向けた4つの大きな障壁を、企業はどう克服できるのか

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ジェンダーバランスの改善に向けた4つの大きな障壁を、企業はどう克服できるのか
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Calendar02 10月 2018

現代の多くの企業が、労働力としての女性の進出はビジネスの成長とイノベーションにつながる最大のチャンスの一つになり得ると認識しています。しかし、企業でのジェンダーの不均衡の改善が難しいことは、よく知られています。ジェンダーの平等に向けて多くの企業が取り組みを進めてはいるものの、女性の労働力のポテンシャルを完全に実現するまでにはまだ何十年もかかりそうな状況です。

When Women Thrive, Businesses Thrive(女性が活躍するとき、ビジネスも繁栄する)』と題されたマーサーの調査では、ビジネスリーダーがビジネス上の必須事項を理解し、データと分析を駆使して組織内のジェンダーの不均衡の根本原因を把握しないかぎり、改善はできないということが明らかになっています。

しかし、女性の活躍を支援するということは、組織が関係者すべての心理を深く理解して配慮しなければならないということでもあります。そして、変化につながる情熱と勇気を持って深く携わるロールモデルが必要です。組織を作り上げるすべての人の行動を変えるということ、または組織の文化を変えるということは、他の多くの変更管理プロジェクトよりも難しいものです。以下で、その理由をご紹介しましょう。

  •  男性は重要だが、同等のパートナーとして関与することはできない。当社の調査では、男性が積極的にダイバーシティとインクルージョン(多様性と社会包含、D&I)を支持するほど女性の存在感は高くなっていますが、こうした取り組みに積極的に関与していると答えた男性は38%に留まりました。
  • 行動のほとんどは無意識に行われるため、トレーニングやコミュニケーションキャンペーンは効果が出にくい。意識的バイアスも、確かにジェンダーの不均衡にある程度影響を与えていますが、無意識の思い込みや行動の方がはるかに広く浸透しています。そして、はるかに改善が難しいのです。実際のところ、ダイバーシティについての従来のトレーニングでは、個人間の違いを強調する一方で無意識のバイアスを克服する戦略が提示できないため、かえってD&Iの取り組みを妨げてしまうことがあります。
  • 不確実性をはじめとした要素の捉え方やプロセスへの反応の男女間の違いが誤って理解され、ジェンダーの不均衡を維持してしまう。 調査では、男性と女性は雇用までのプロセスについて異なる認識を持つことがわかっています。 例えば、男性は人間関係によるひいきや自己宣伝が許容されているものとみなす傾向がより高いのに対し、女性はもっと厳密に資格に基づくものとみなす傾向にあります。こうした違いは、各種のプロセスを設計する際に影響を及ぼし、特定の要素や認識を重視する一方でそれ以外を軽視することになります。そして、従来のD&Iの取り組みでは効果が出にくいようなジェンダーの不均衡につながることもあるのです。
  • 感情は邪魔になることもある。物事を変えるときにつきもののネガティブな感情を把握することは重要です。こうした感情は、変革にかかわる全ての人に影響を与えます。例えば、男性はジェンダーの平等を目指すことを、女性が勝利し男性が敗北するゼロサムゲームと考えがちです。男性は自分の地位や特権を失うことを恐れるかもしれませんが、また同時にフレックスタイムや家族のための休暇規定など、ワークライフバランスを推進し、機会の平等を実現するためのプログラムの活用をためらうこともあります。一方女性の場合、特に男性の同僚との平等に関する十分な対話ができていないために、他に優先順位の高い事柄が犠牲になるのを恐れて、挑戦的な課題に取り組んだり、出世への階段をアグレッシブに登っていくことをためらう場合があります。

こうした問題に対する答えは、人間を変えるのではなく、人に合わせてプロセスや慣行を変えていくことです。つまり以下のようなことです:

  • キャリアの進展の上で女性が直面している壁についての分析の結果や、ビジネス上の要件を元に、定量化可能な目標を設定すること。例えば損益の面から、より多くの女性の採用を決めたり、出産後の女性を雇用し続けることを組織で決定することもあります。
  • ジェンダーの平等という結果に向けた行動を明確にし、モデル化すること。例えば、特定の役職で募集する女性の数を増やしたり、育児休暇を活用する男性の割合を増やすといったことが挙げられます。
  • 現在の行動の基盤となっているものを把握し、新しい行動を促進する最良の方法を選ぶこと。例えば、内部調査の結果、成果を上げる確実度が40%であっても男性が新しい役職に応募し、一方女性であれば確実度が80%に達さない限り応募しないということが明らかになれば、組織内では女性がより速くその80%の基準値を達成できるような対策を取り入れることができるでしょう。こうした対策としては、追加のトレーニングを提供したり、応募を考えている人が自分のスキルと役職に求められるスキルの比較検討ができるよう、その役職に関する理解を深める取り組みを行うということが挙げられるでしょう。
  • 組織内のあらゆる階層で、望ましい行動を率先して行うリーダーやロールモデルを設置すること。

過去4年間、ジェンダー面での多様性を進展させる要素に投資を行っている先駆的な組織と連携する仕事ができたことは、私たちにとって大きな喜びでした。現在の問題は、より多くの組織が、改善に向けて行動を取るかどうかという点です。強力なイノベーションと成長に向けた高い生産性と積極的な関与という報酬が約束されているのですから、この問題の答えが「イエス」であることには、これまでになく希望が持てるでしょう。    

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